バインディングの役割は板とブーツを固定させるだけではありません。
板の操作性に関わってくる重要なアイテムです。
ちょっと話がそれますがバインディングは『ビンディング』と呼ばれることもありますよね。
どちらかが正解でどちらかが間違いという明確なものは無いようです。
英語表記は『binding(バインディング)』、ドイツ語表記は『bindung(ビンドゥング)』です。
JSBA(日本スノーボード協会)は英語の『バインディング』に統一。
スキーではドイツ語の『ビンディング』を使用していたためスキーも製造するメーカーや、SAJ(全日本スキー連盟)では『ビンディング』を用いるそうです。
意味としては通じるのでどちらでも構わないと思います。
ちなみにこのサイト内では『バインディング』です。
バインディングの選び方
ご自身の滑りのスタイルに合わせたバインディングを選ぶために種類やその特徴を見ていきましょう!
各パーツの名称と役割
一般的なバインディングを例にとってご紹介します。
①トゥストラップ
つま先または足の甲(足の付け根当たり)を固定するストラップです。
つま先で固定したほうがホールド感も増し足も痛くなりにくいです。
足の甲で固定すると締め上げのストレスを感じやすいです。
②アンクルストラップ
足首を固定するストラップです。
ノーブランドの安価なモノの中にはストラップの幅が細いものであったり、厚みのないものもあるかもしれません。
滑っている際、つま先側に加重したときに足首が痛くなったりすることもあるので参考程度に覚えておきましょう。
③ハイバック
ふくらはぎの下部を支えるパーツです。
かかと側に加重したときのサポートといったところでしょうか。
硬く高さがあるほどレスポンスが良くなり操作性が上がります。
④ラチェット
ストラップを締め上げるパーツです。
ブーツを固定する重要なパーツなので耐久性がないと話になりません。
プラスチックのものは避けましょう。
⑤ベースプレート
バインディングの基盤となるパーツです。
雪面からの衝撃を緩和させたり板の操作性にも関わってきます。
指で押さえているものはベースプレートのカバーです。
衝撃の緩和に一役買っています。
⑥ストラップ調節
ストラップの長さ調節するネジです。
ストラップを調節することでブーツのアアウトラインとぴったり合うようにします。
⑦ハイバック調節
ハイバックの角度調節するネジです。
ブーツとの間に隙間があると板にしっかりと力が伝わらないので隙間のないようにしましょう。
⑧ブーツのつま先部分がバインディングより飛び出さないように調節できます。
⑨同じように、かかと部分を支えるものです。
所持している『flux』というブランドのバインディングでご紹介しましたが、同じストラップタイプのバインディングであれば大まかなパーツ構成は一緒です。
ただし、ブランドによって調節機能が付いている場所が違っていたり機能そのものが付いていないものもあるかもしれません。
形状
バインディングの形状は大きく4つに分類されます。
ストラップタイプ
昔からある最もポピュラーなタイプ。
バインディングを扱っているブランドの多くはこの形状を採用しています。
トゥストラップ、アンクルストラップをそれぞれ締めて固定するのでホールド感は一番です。
スピードエントリータイプ
出典:Amazon
一部のブランドがリリースしている形状です。
ちょっとややこしいんですが、アルペン用のように使用用途が違うわけではないです。
要は、アルペン用は専用の板とブーツが必要ですが、スピードエントリータイプはそれ専用の板とブーツがあるわけではありません。(ブーツとの相性はありますが・・・)
ストラップタイプはハイバックをつま先側に倒すんですが、スピードエントリータイプは後ろにリクライニングするように倒します。
そうすることで隙間を作りサンダルのようにブーツを着脱するイメージです。
メリットは足をバインディングに固定する際に腰を下ろさず立ったまま手間もかからずに着脱できることです。
ただし、慣れるまでは時間がかかると思います。
ステップオンタイプ
出典:BURTON
アメリカの有名ブランド『バートン』から革新的なバインディングがリリースされるようです!
一昔前に『ステップイン』というものがあり(今もあるのかな・・・?)
スキーのように踏みつけて固定させるタイプがあったんですが、それと似たような作りみたいですね。
開発に長い時間をかけていて試乗を繰り返し、かなりの自信作に仕上がったみたいですよ!
従来のステップインはホールド力が弱いという欠点があったようなんですが、ステップオンは親指、小指の付け根辺りとハイバックの部分の3点で固定するらしく、その欠点を見事にクリアしているみたいです。
それ専用のブーツを一緒に用意しなければならないんですが試乗の評価は上々みたいなので非常に気になっちゃいますね!
アルペンタイプ
出典:Amazon
アルペン専用のバインディングです。
それ専用の板とブーツが必要になります。
こちらはご参考までということで。。。
硬さ
板のしなりと同様に『フレックス』といいます。
実物を手に取ってフレックスを判断するのは難しいです。
カタログを見たりショップ店員に聞くのが手っ取り早いです。
ちなみに、ハイバックに関してはねじってみれば判断できます。
硬さがあるほうが板にパワーが伝達しやすくレスポンスは良くなるので操作がシビアになります。
ごまかしがきかずに素直に板に伝わるのでどちらかと言えば上級者向きです。
硬ければ安定もするので高さを出すキッカーでのジャンプ、そしてカービングなどに向いていますね。
逆に柔らかいとレスポンスが悪くなり操作性がルーズになります。
滑りで言えばパークやグラトリ向きですね。
初心者の方にはソフト~ミドルフレックスがおすすめです。
ブーツとの相性
バインディングを具体的に選ぶ際にはブーツと同時に、またはブーツを選んだあとが望ましいです。
ブランドによってアウトラインに差があるので同じサイズのブーツでも大小あります。
しっかりとブーツを固定することが出来なければ滑りに影響するだけではなくブーツがバインディングから外れる危険性もあるので注意が必要です。
バインディングを選ぶときのポイントを見ていきましょう。
ヒールカップに収まっているか
ヒールカップが大きすぎて隙間があるとかかと部分が浮いてきてしまいますし、逆に小さすぎるとブーツが収まらずにブーツを傷める原因にもなります。
どちらにしてもかかと側で加重したときに上手く滑れません。
ベースプレートに収まっているか
ブーツのソール部分がしっかり収まっているか確認しましょう。
隙間があるとつま先側で加重したときに上手く滑れません。
なかには長さ、幅の調節ができるものもあります。
ハイバックの硬さと高さ
繰り返しになりますが初心者の方はソフト~ミドルフレックスがおすすめです。
ハイバックの高さがありブーツより長いものは避けましょう。
かかと側で加重したときにふくらはぎに当たるなどの支障が出ます。
セッティング
セッティングひとつで滑りやすさは変わってきます。
ご自身で滑りやすいように調整しましょう。
板への取り付け方法
4×4(フォーバイフォー)
スノーボードの板にはバインディングを取り付けるためのビス穴(インサートホール)があります。
バインディングに付属しているディスクプレートとビスを使用して板に取り付けします。
ブランドによっては4×2など、ディスクプレートのビス穴の位置が少し違っているものもありますが感覚的にすぐわかると思います。
EST
バートンが独自に開発している固定方法です。
画像のように板に掘られている溝で取り付けします。
独自開発なのでバートン以外のブランドの板にはありません。
必然的にバートンのバインディングが必須になります。
スタンス幅を細かく設定できるメリットがあります。
専用のディスクプレートでないと取り付けできません。
画像のディスクプレートは通常のインサートホールのある別のブランドの板にも取り付けることはできますね。
スタンス
スタンス幅とは左右のバインディングのディスクプレートの中心から中心までの間の距離のことを指します。
要は足の歩幅のことです。
スタンスが広いほど身体の重心が落ちるので安定しますが常に中腰のような状態なので疲れます。
逆に狭いと安定感は欠けますがひざの可動域が大きいため疲れにくくなります。
初めのうちは肩幅程度にして滑りやすいように修正していきましょう。
アングル
板に乗っているときの足の角度のことです。
板に対してバインディングを垂直に置いたときが0°になり、ノーズ側(進行方向)をプラス、テール側をマイナスで表します。
バインディングのディスクプレート付近にメモリが刻んであります。
少しわかりづらいですが画像の赤丸が0°になります。
メモリは3°刻みです。
板の進行方向に対して身体は横を向いている状態なので滑り慣れてくるまでは両足ともプラス(ノーズ側)に傾けて進行方向に身体を向けるようにするのが一般的です。
仮付けしてブーツを固定させてみて板からはみ出さないかもチェックしましょう。
前足をプラス、後ろ足をマイナスに傾けてガニ股になるスタンスをダックスタンスと言います。
スイッチスタンスになったときに滑りやすいのが特徴です。
アングルもスタンスと同様に決まりはありません。
慣れに応じて滑りやすいように修正していきましょう。
セットバック
ツインチップ形状の板はデフォルトで身体の重心が板の中心になります。
板に乗ったときに身体の重心が中心ではなくテール寄りになるようにバインディングを取り付けることをセットバックと言います。
テールよりもノーズのほうが長くなるため滑走面で安定するようになります。
まとめ
一通りのポイントをチェックしてブーツとマッチするバインディングを選びましょう。
ショップ店員など知識の深い人に相性の確認もすればより確実ですよ。
セッティングに関しては特に決まったルールは存在しません。
スタンスやアングルは少しの変化で滑りがだいぶ違ってきます。
面倒でも色々と試してみることを強くおすすめします。